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ひとことで言うと
IOSTには本物のNFTとゲームの歴史があり、その大部分は2019年から2023年にかけて日本で起きました。チェーンにはIRC-722という独自のNFT規格があります。日本企業がその上にマーケットプレイス、ゲーム、証明書サービスを作り、中でもいちばんの大物が総合格闘技イベントのRIZINで、そのライセンスを受けたNFTマーケットプレイスがIOST上で動いていました。現在の看板製品はそれとは性格が違い、所有を証明するNFTとセットで販売される生体認証リング「IOST Signet」です。
こうした事実のまわりには、噂の雲がかかっています。検索候補ではIOSTがアマゾン、ソニー、サムスン、任天堂、テンセント、有名格闘家、著名な投資家、そして横綱と結びつけられています。わずかに真実を含むものもありますが、大半は根拠がなく、このページの最後の表でひとつずつ仕分けています。先に全体像を知りたい方はIOSTとはを読んでから戻ってきてください。
始める前にもうひとつ。ここで紹介するNFTやゲームのプロジェクトの多くは、すでに活動していません。知っておく価値があるのは、今使えるからではなく、IOSTがなぜ日本でこれほど強いファン層を築いたのかを説明してくれるからです。DAppsやDeFiまで含めた全体の流れは、IOSTのDApps・DeFiのページをご覧ください。
RIZIN FIGHTING COLLECTION:格闘技ファンにIOSTを知らしめたNFTマーケットプレイス
RIZIN FIGHTING COLLECTIONは、Theotexグループに属するNFT-Japanが、RIZINを運営するドリームファクトリーワールドワイドのライセンスを受けて、IOST上に作ったNFTマーケットプレイスです。発表は2021年8月下旬でした。コンセプトはシンプルで、RIZIN公式のデジタルコレクティブルを日本のマーケットプレイスで販売し、その基盤にIOSTを使うというものです。
事前登録には「RC」というポイントでの特典が用意され、プロジェクトは2022年1月のNFT WEEKS TOKYOで披露され、本格リリースは2022年中の予定とされていました。マーケットプレイスが今も稼働しているかは確認できなかったので、2021〜2022年のプロジェクトとして扱ってください。検索する人にとって大事なのは、これが「何ではなかったか」です。「RIZIN FIGHTING COIN」というトークンは存在しません。この言葉はおそらくRCという事前登録ポイントか、似た名前を借りた別のチェーンの無関係なミームコインから来ています。
日本の格闘技ファンの多くは、RIZINをきっかけにIOSTを知りました。2025年10月のインタビューで、IOSTのCEOは2019年のエピソードも語っています。IOSTを大量に保有する有名な日本人格闘家のウォレットが公になり、そのファンの間で買いの波が起きた、というものです。格闘家の名前は明かされておらず、私たちも推測はしません。ほかの場所でこの話に誰かの名前が付いていても、それは憶測にすぎません。
IOST上のゲームとNFTプロジェクト
IOSTの「ゲームのチェーン」という評判は、2019年のEndless Gameから始まりました。EOSから移植されたカジノ風の利益分配型ゲームで、公開初日に膨大な取引量を集めました。同じ年、日本のEversystemはオンチェーンゲーム「CryptoNinja」のIOST版を運営し、のちに開発者カンファレンスCEDEC 2019で振り返りの講演を行っています。どちらもとうの昔に終わっています。
2021年にはNFTの波が来ました。Platinum EggのTOKEN LINKは、14万ダウンロードを超えた位置情報ゲームCROSSLINKのアイテムにIRC-722トークンを使いました。2021年4月には、たまきちひろ氏のNFTコミックが、ロイヤリティをコントラクトに組み込んだ形でオークションにかけられています。EMOGI Networkは2021年7月にRevivalマーケットプレイスをIOSTに持ち込みました。Play to EarnのZodiumは2021年9月にIOSTと提携しましたが、そのトークンはイーサリアムとBNBチェーンにあり、IOST上での稼働は確認できませんでした。ノードパートナーXPETのゲームDream Monsterは2022年1月のロードマップに載り、手数料無料の日本のNFTマーケットプレイスtomonityは2022年4月まで事前登録を行いましたが、実際にローンチしたかは確認できていません。
その後のプロジェクトは、規模が小さく企業色の強いものになります。Platinum Eggのバトルレースゲーム「Climbers」は、IOSTの戦士キャラクターと、Meta Akitaと作った秋田犬のキャラクターが登場し、2023年12月にASOBIHACK TOKYOの受賞作として発表されました。アロマのブレンドアプリは2023年と2024年に会員向けNFTを発行しています。2024年ごろには香港で、AIが生成したIOSTのNFT 1,000点と20万IOSTの報酬プールを用意したキャンペーンがあったと、エアドロップ情報サイトが伝えています。「IOSTのメタバース」を期待していた方には残念ですが、記録の中にIOST上のメタバースプロジェクトは見つかりませんでした。
IOST Signet:NFTが付いた生体認証のDIDリング
IOST Signetは、財団が今販売しているハードウェア製品です。PayPINリングとも呼ばれるスマートリングで、光学式の心拍センサーを使い、IOSTが「Proof of Heartbeat」と呼ぶ分散型ID(DID)の仕組みを実現します。仕様には、EAL5+のセキュアエレメント、NFC・Bluetooth・UWB、IP68の防水性能、5〜7日もつバッテリーが挙げられています。
所有権はNFTで管理します。リングのNFTをMetaMaskなどのウォレットで保有し、IOST Signetアプリを開いてメールアドレスでアカウントを作り、MetaMaskかWalletConnectを接続し、リングのサイズを選んで送料を支払う、という流れです。アプリは2025年11月6日に公開されました。「Signet Rewards」の画面ではIOSTの報酬を確認・請求でき、iost.ioではリングの購入が請求可能なノードと結びつけられています。CEOはインタビューで、購入者は購入額の3倍のIOSTを「マイニング」できると説明し、Genesisセールは約30分で完売したと語りました。
注意点が2つあります。まず、プライバシーポリシーによると、IOST財団は心拍数、心拍変動、血中酸素、睡眠といった生体データを収集し、StressWatchと呼ばれる検証ネットワークと共有します。暗号資産の財団に渡すには、かなりセンシティブなデータです。次に、「マイニング」という表現は報酬スケジュールの宣伝文句で、プルーフ・オブ・ワークではありません。IOSTステーキングのガイドで説明しているとおりIOSTはマイニングできず、「Signetノード」の転売話はよくある詐欺の手口です。Signetが3.0の計画の中でどう位置づけられているかはIOST 3.0のページで解説しています。
ZUNAと「IOST 横綱」の検索
「IOST 横綱」という検索は、意外なほど多くあります。いちばん有力な説明はZUNAで、IOST上でローンチした相撲がテーマのDeFiトークンです。Cointelegraphのプレスリリースで発表されましたが、そのページは今エラーになり、トークンも活動していないとみられます。もうひとつ、もっと地味なつながりもあります。メインネットのブロックプロデューサーのアカウントのひとつが、文字どおりyokozunaという名前で、エクスプローラーにはノードの定型的な取引の送信元として表示されます。
一方、私たちが探した限り、白鵬のNFTや公式の横綱NFTはIOST上にありません。もし誰かに勧められたら、支払う前にコントラクトを教えてもらい、エクスプローラーで確認してください。
国内のノードパートナーと関係機関
IOSTの日本での歩みは、珍しいほど記録がそろっています。財団が発表をPR TIMESのニュースリリースで出してきたからです。年表を追うと、大学でのイベントやスタートアップ拠点から始まり、取引所への上場、ステーキング、規制を受けた企業とのノードパートナーシップへと広がっていった様子がわかります。同時に、2026年にはそのパートナーのうち2社がIOSTの取扱いをやめたという最近の揺り戻しも見えてきます。
- 2020年9月CoincheckがIOSTを上場国内取引所として初。当初から貸暗号資産にも対応。
- 2021年8月RIZIN FIGHTING COLLECTIONを発表RIZINのライセンスによるIOST上のNFTマーケットプレイス。
- 2021年10月日本ブロックチェーン協会IOST財団がJBAの正会員に。
- 2022年5〜9月BITPOINTが上場し、ノードも運営国内3社目の上場。9月からノードパートナー。
- 2023年9月HashKey DXがノードパートナーにノードパートナーの一覧に加わる。
- 2023年CoinTradeの「Mercury」ノードプライム市場上場のセレスグループ傘下、マーキュリーが運営。
- 2024年10月A trustがメインネットへ移行2019年から3万7,000件超を発行した証明書の登録サービス。
- 2026年7〜8月CoinTradeとBITPOINTが取扱い終了JVCEAの一覧によると7月8日と8月5日に取扱いを廃止。
いくつかの点を掘り下げてみましょう。BITPOINTは2022年5月に国内3社目としてIOSTを上場し、同年9月にノードパートナーとなり、2024年12月には手数料無料のIOSTステーキングを始めました。東京証券取引所プライム市場に上場するセレスのグループ会社マーキュリーが運営するCoinTradeは、「Mercury」ノードを動かし、ポイントサービス「モッピー」のポイントをIOSTに交換できるサービスまで提供していました。HashKey DXは2023年9月にノードパートナーとして加わっています。こうした動きによって、IOSTは日本の規制市場に珍しいほど深く根を張っているように見えました。
2026年の状況は、それより狭くなっています。JVCEAの取扱銘柄一覧には、CoinTradeが2026年7月8日に、旧BITPOINTのシステムが2026年8月5日にIOSTの取扱いを終えたと記録されています。今もIOSTを扱う金融庁登録業者は、Coincheck、OKJ、BitTrade、Binance Japanの4社です。日本にお住まいなら、この4社で買うのが正攻法で、日本のIOST事情のガイドとCoincheckのレビューで詳しく紹介しています。
取引所以外で目立たないながら成功しているのが、Cabinet社のA trustです。デジタル証明書の登録サービスで、2024年10月にプライベートなIOST環境から公開のメインネットへ移行しました。財団は2021年10月に日本ブロックチェーン協会へ加盟し、コミュニティスペース「Crypto Lounge GOX」のスポンサーを務め、WebX 2026の関連イベントにも登場しています。最後の点は正確に書いておきます。IOSTはNTT DOCOMO GLOBALのイベントに協賛しましたが、それはイベントのスポンサーであって、NTTドコモとの提携ではありません。日本の公式X(旧Twitter)アカウントは@IOSToken_jpです。
海外在住で、これから始めたい方へ
日本にお住まいの方は、ここではなく金融庁登録の取引所を使ってください。海外の方なら、2013年から運営されているCEX.IOでカードを使ってBNBなどの暗号資産を買えます。CEX.IOはIOSTを扱っておらず日本居住者も利用できないため、ルートは「まず暗号資産、次にIOSTを扱う取引所」です。
日本にお住まいの方はCEX.IOを利用できません。国内でIOSTを買う場合は、金融庁に登録された暗号資産交換業者をご利用ください。
提携の噂をファクトチェック:アマゾン、ソニー、BSN、有名人
日本と韓国に大きな個人投資家のファン層を持つこともあって、IOSTには提携の噂が絶えません。私たちはそれぞれの主張を、IOSTの公式チャンネル、各社のページ、取引所の告知と照らし合わせました。「証拠なし」は、一次情報のどこにも何も見つからなかったという意味です。事実として広めないでください。
ソニー?証拠なし!| 噂 | 判定 | 記録からわかること |
|---|---|---|
| アマゾン/AWSとの提携 | 一部事実 | 2023年3月2日にAWSとの戦略的パートナーシップを発表。パートナー経由のAWS中国の導入事例あり。クラウドの話でアマゾンの小売とは無関係。 |
| 中国BSNへの採用 | 一部事実 | 2020年4月にIOST Enterprise EditionがBSNの開発者認定を取得。パブリックチェーンの統合や政府との提携はなし。 |
| RIZINがIOSTを採用 | 事実 | NFTマーケットプレイスRIZIN FIGHTING COLLECTION(2021〜22年)。 |
| 「RIZIN FIGHTING COIN」 | 誤り | そのようなトークンは見つからず。 |
| ソニー、サムスン、テンセント、任天堂 | 証拠なし | IOSTからも各社からも発表なし。 |
| 朝倉未来氏・朝倉海氏 | 証拠なし | どちらかとIOSTを結びつける情報源はなし。 |
| 与沢翼氏がIOSTを保有 | 証拠なし | 何も見つからず。 |
| 白鵬・横綱のNFT | 証拠なし | 相撲トークンZUNAとの混同とみられる。 |
| Chainlinkとの提携 | 未確認 | ファンのまとめ記事のみ。別のオラクルGravityがIOSTに対応。 |
| NTTドコモとの提携 | 提携ではない | 2026年にNTT DOCOMO GLOBALのイベントに協賛しただけ。 |
出典:IOSTのPR TIMESリリース、AWS中国、IOSTのMedium、暗号資産メディア、JVCEA。
AWSの話は、半分だけ正しく伝わりがちなので詳しく見ておきましょう。IOSTは2023年3月2日に、AWSのインフラとWeb3ツールをIOSTの開発者に届けることを目的とした、Amazon Web Servicesとの戦略的パートナーシップを確かに発表しました。それとは別に、AWS中国は、IOSTがAWSパートナーのeCloudRoverを通じてEC2、EKS、Auroraなどのサービスを使った導入事例を公開しています。これはクラウド事業者との実在する関係で、多くのブロックチェーンプロジェクトが持っているのと同じ種類のものです。アマゾンからの出資でも、アマゾンの決済との提携でもなく、通販サイトとも関係ありません。
BSNの話も似ています。2020年4月、Aiou Technologyという会社が運営するIOSTのエンタープライズ版が、中国のブロックチェーン・サービス・ネットワーク(BSN)から開発者としての認定を受けました。これは開発者向けの資格です。IOSTのパブリックチェーンがBSNに統合されたことは示されておらず、「中国政府のパートナー」という表現には裏付けがありません。
よくある質問
IOSTにNFTはありますか?
あります。IOSTにはIRC-722という独自のNFT規格があり、2021年から2022年にかけてTOKEN LINK、たまきちひろ氏のNFTコミックのオークション、Revival、RIZIN FIGHTING COLLECTIONなど、日本のNFTプロジェクトがいくつも動いていました。最も新しいIOSTのNFTは、IOST Signetリングの所有を証明するリングNFTで、MetaMaskなどのウォレットで保管し、SignetアプリでWalletConnectを使って認証します。
RIZIN(ライジン)はIOSTを使っていますか?
RIZIN FIGHTING COLLECTIONというNFTマーケットプレイスが、RIZINを運営するドリームファクトリーワールドワイドのライセンスのもと、NFT-JapanによってIOST上に作られました。2021年8月に発表され、2022年1月のNFT WEEKS TOKYOで披露されています。RIZIN FIGHTING COINというトークンは存在しません。
IOSTはアマゾンと提携していますか?
一部は本当です。IOSTは2023年3月2日にAmazon Web Servicesとの戦略的パートナーシップを発表し、AWS中国はAWSパートナーと構築したIOSTの導入事例を公開しています。これはクラウドインフラの関係であって、アマゾンの小売事業との提携や出資ではありません。
IOSTはソニーと提携していますか?
IOSTとソニーの提携を示す証拠は見つかりませんでした。サムスン、テンセント、任天堂についても同じです。これらの名前は噂や検索候補に出てきますが、IOST、各社、取引所のいずれの公式情報にも裏付けはありません。
IOST Signetリングとは何ですか?
SignetはIOST財団が販売するスマートリングで、心拍のリズムを読み取って分散型IDとして使います。所有権はNFTとして記録され、実物のリングとIOSTの報酬はIOST Signetアプリで受け取ります。プライバシーポリシーには生体データを収集し検証ネットワークと共有すると書かれているので、購入前に必ず読んでください。
IOSTと横綱にはどんな関係がありますか?
IOSTと横綱を組み合わせた検索の多くは、IOST上でローンチした相撲をテーマにしたDeFiトークンZUNAを指しているとみられます。元のプレスリリースはすでに公開されていません。またIOSTメインネットには、yokozunaという名前のブロックプロデューサーのアカウントもあります。白鵬や横綱のNFTがIOST上にあるという事実は見つかりませんでした。
出典・参考資料
- IOSTプレスリリース — RIZIN FIGHTING COLLECTIONがIOSTを採用 · 企業プレスリリース、2021年8月
- PR TIMESのIOSTニュースルーム(日本語リリース一覧) · 公式プレスリリース
- AWS中国 パートナー導入事例:IOST · AWSの導入事例
- IOSTドキュメント — PayPINリング(Signet) · 公式ドキュメント
- IOST Signet 報酬ポータル · 公式サイト
- 一般社団法人 日本暗号資産等取引業協会(JVCEA) · 自主規制団体
- Crypto.news — IOST Enterprise EditionがBSNの開発者認定を取得 · 報道、2020年4月

