このページの内容
総合評価:バーツで買うには便利、資産を預けるには不安
タイに住んでいてIOSTが欲しいなら、まず思い浮かぶのがBitkubです。私たちが見つけた中でIOSTをタイバーツ建ての板で取引できる唯一の取引所で、タイ証券取引委員会(SEC)の認可を受けており、PromptPayを使えば数分で入金できます。認可事業者で売買すれば、タイのIOST事情で解説しているキャピタルゲイン非課税の対象にもなります。
問題はガバナンスです。2026年7月、SECは、Bitkubが2021年5月に起きた約17億バーツの盗難を、虚偽の日次報告によって隠していたとして刑事告発しました。Bitkubは創業者が損失を補填し、顧客に損失は出ていないと説明しています。仮にそれが事実だとしても、ハッキングを自らの規制当局に何年も隠していたとされる取引所に、コインを長期で預ける理由はありません。日本でいえば、金融庁への報告を偽っていたと疑われているのと同じ重さの話です。
- IOST市場(THBペア・流動性)7.5
- 手数料とスプレッド6.0
- バーツの入出金8.5
- 安全性とガバナンス4.5
- IOST送金情報の透明性6.0
Bitkubの基本情報
Bitkub Online Co., Ltd.はバンコクに本社を置き、2018年にJirayut(愛称Topp)Srupsrisopa氏が創業しました。Bitkub Capital Group Holdingsの傘下にあり、グループの利益の大半を取引所事業が稼いでいると報じられています。SCB証券が51%を取得する計画は2022年に中止され、タイ、その後は香港での上場計画が報じられましたが、上場が完了したという情報は見つかりませんでした。
IOSTを買う人のためのBitkub概要
- 運営会社
- Bitkub Online Co., Ltd.(バンコク)
- 設立
- 2018年
- 規制
- タイSEC:デジタル資産取引所およびブローカーとして認可(ライセンス番号は未確認)
- IOSTペア
- IOST/THB、2018年11月27日上場、最小注文10バーツ
- 法定通貨の入出金
- PromptPayのQRとタイの銀行振込。出金は本人名義のタイの銀行口座へ
- 取引手数料
- メイカー・テイカーとも0.25%
- IOSTの出金ネットワークと手数料
- 未確認。メモ付きのメインネットと見られます。送金前にアプリで確認を
BitkubのIOST/THB市場
IOST/THBはBitkubで最も古い市場の一つです。内部のペアIDは17で、Bitkub自身のAPIによる上場日は2018年11月27日。IOSTメインネットが始動する数か月前のことです。この長い歴史もあって、IOSTはタイの個人投資家にとってなじみ深いコインになり、「เหรียญยาย(おばあちゃんコイン)」という愛称で親しまれています。プロジェクト自体についてはIOSTとはで紹介しています。
現地通貨建ての市場としては、流動性はまずまずです。取引所のデータを確認した時点で、BitkubのIOSTの1日の売買代金は、日本のCoincheckやOKJのIOST/JPYのおよそ10倍でしたが、UpbitのKRW市場やBinanceのIOST/USDTと比べると約10分の1でした。実際には、少額から中規模の注文なら問題なく約定する一方、大口の成行注文は価格を動かします。バーツ建ての最新価格はサイドバーの価格表示かIOST円換算ツールで確認してください。数時間で古くなるため、レビューには価格を載せていません。
弱点はスプレッドです。確認した日、CoinGeckoが計測した最良の買値と売値の差は約1.4%で、大手のドル建ての板よりはるかに広いものでした。スプレッドは常に変わるので、売買の前に自分で板を見て、指値注文を優先しましょう。
手数料とスプレッド
Bitkubの取引手数料は、IOSTを含む全銘柄でメイカー・テイカーとも一律0.25%です。月間の取引量が非常に多い場合は0.10%に下がるという報道もありますが、公式ページでは確認できませんでした。ほとんどの個人ユーザーにとって関係するのは0.25%のほうで、大手のグローバル取引所よりは高めです。
具体例で考えてみます。10,000バーツ分のIOSTを買い、その後同じ価格で売ったとします。2回の取引にそれぞれ0.25%かかるので、手数料は合計約50バーツです。スプレッドが約1.4%なら、買うときと売るときにそれをまたぐコストがさらに約140バーツかかります。往復で約190バーツ、2%近いコストになり、出金手数料はこれとは別です。スプレッドの内側に指値注文を置けば、後者の負担はかなり減らせます。日本の販売所と取引所の違いと同じで、板取引でも価格の付け方しだいで実質コストは大きく変わります。
バーツの入金は無料と報じられており、バーツの出金はKBank宛てで約20バーツ、他の銀行は段階的な料金とされています。1回のバーツ出金の上限は2,000,000バーツです。Bitkubの手数料ページは自動での確認を受け付けないため、これらは報道ベースの数字として載せています。アプリで確認してください。
入金と出金:まずはメモ
入金のしやすさはBitkubの最大の強みです。PromptPayのQRコードか、本人名義のタイの銀行口座からの振込でチャージでき、バーツの出金も同じ口座に戻ります。タイの取引所ではカードでの購入は珍しく、Bitkubも例外ではありません。
暗号資産の出金については、壁に突き当たりました。手数料ページがボット対策の向こう側にあるため、BitkubがIOSTの出金にどのネットワークを使い、いくら手数料を取るのかを確認できなかったのです。Bitkubによると、暗号資産の出金手数料はタイ時間の12時、16時、21時、0時の1日4回改定されるので、仮に数字を載せてもすぐに古くなります。取引所は通常、IOSTをメインネットで扱い、一つの入金用アカウントとユーザーごとのメモで管理します。Bitkubもほぼ確実にこの方式ですが、BNBチェーン上のBEP-20への対応は確認できていません。
新規口座には追加のハードルもあります。2025年1月1日以降に承認された口座は、2025年2月3日から、追加の本人確認を終えるまで暗号資産の出金が停止されました。IOSTをウォレットに移すつもりなら、買う前にすべての確認手続きを済ませておきましょう。
タイ在住でないなら、まずは暗号資産から
CEX.IOはIOSTを上場していません。タイ以外にお住まいなら、そこでカードを使ってBNBなどの暗号資産を買い、IOSTを扱う取引所に送る方法があります。タイ在住の方はBitkubかBinance THが認可されたルートです。日本在住の方はCEX.IOを利用できません。
CEX.IOはタイ証券取引委員会(SEC)のライセンスを持っていません。Bitkubなど同委員会の認可取引所での売買はタイのキャピタルゲイン非課税措置の対象になり得ますが、それ以外は対象外です。
BitkubでのIOST 3.0エアドロップ
BitkubはIOST 3.0エアドロップの取引所分の配布に参加しています。2025年3月15日のUTC 0時(日本時間9時)のスナップショット時点でBitkubに1,000 IOST以上を保有していれば、申請なしで毎月配布を受け取れます。初回は4か月分がまとめて支払われ、その後は毎月の配布に移行しました。11回目は2026年5月27日、12回目は2026年6月30日に支払われています。スナップショット後に買ったIOSTは新たな配布の対象になりません。
Bitkubにはこの分野での実績もあり、2021年2月にはIOST保有者向けのDonnie Finance(DON)エアドロップ第1弾にも対応しました。Coincheck、BitTrade、Upbitとの配布スケジュールの比較はIOSTエアドロップのガイドで、そもそもなぜ新しいトークンが発行されているのかはIOST 3.0の解説で確認できます。BitkubにはIOSTのステーキングは見当たりませんでした。オンチェーンでの投票についてはIOSTステーキングのガイドをご覧ください。
ライセンスと安全性の記録
Bitkubは、2018年のデジタル資産事業に関する緊急勅令に基づき、デジタル資産取引所およびブローカーとしてタイSECのライセンスを持っており、SECの現行リストに認可取引所7社の一つとして掲載されています。ライセンス番号そのものは確認できませんでした。このライセンスはタイのユーザーにとって重要です。タイでは2025年6月28日から無認可の海外取引所がいくつも遮断されており、2025〜2029年の非課税措置の対象になるのは認可取引所での利益だけだからです。
ただ、ライセンスの裏にある記録は良いものばかりではありません。2026年7月に報じられたSECの発表によると、Bitkub Onlineと元取締役2人は、2021年5月10日から10月30日まで虚偽の日次純資本報告を提出していたとされます。その報告は、16種類のデジタル資産で約17億バーツ(約4,700万ドル)の盗難を隠していたとされています。Bitkubは、共同創業者が私財で盗まれた資産を補填し、顧客の資金に損失はなく、2025年9月8日のSECによる顧客資産の確認でも問題はなかったと説明しています。これはあくまで告発であり、有罪判決ではありません。
- 2018年11月IOST/THBを上場Bitkubの最初期のペアの一つ
- 2021年5月約17億バーツのハッキングSECによると当時は開示されず
- 2025年3月IOST 3.0エアドロップのスナップショット1,000 IOST以上の保有者が対象
- 2025年9月SECが顧客資産を確認Bitkubは資産に問題なしと説明
- 2026年7月SECが刑事告発Bitkub Onlineと元取締役2人が対象
当局の処分はこれが初めてではありません。SECは以前、2019年の取引量データの水増しを理由にBitkubに制裁金を科し、インサイダー取引を理由に同社の最高技術責任者に約850万バーツの制裁金と12か月の役員就任禁止を科しています。マークルツリーによる準備金の証明(プルーフ・オブ・リザーブ)は公開されておらず、コールドウォレットでの保管割合も見つかりませんでした。
BitkubでIOSTを買う手順
本人確認が終わっていれば、手続きは数分で済みます。タイ国籍の人はタイのIDカードを使い、NDIDかDip-Chipで確認します(セブン-イレブンでもできます)。タイに住む外国人は、パスポートに加えてピンク色の外国人IDカード、労働許可証、ノンイミグラントビザやスマートビザなどの居住書類が必要で、NFCによるパスポート確認も使えます。タイ駐在の日本人の方もこの方法で口座を開けます。サポートはタイ語と英語で提供されています。
口座を開設して本人確認
Bitkubアプリで登録し、暗号資産の出金前に求められる追加の手続きも含めて本人確認を完了させます。
バーツを入金
PromptPayのQRコードを読み取るか、本人名義のタイの銀行口座から振り込みます。
IOST/THBを購入
IOST/THBの市場を開き、最良価格の近くに指値注文を出します。最小注文額は10バーツです。
保管先を決める
長期で持つなら、ネットワークとメモを確認したうえで自分のウォレットに出金します。IOSTの送金方法を参照してください。
売るときは逆の手順です。IOSTをバーツに売り、銀行口座に出金します。アジア全体での購入ルートを知りたい方は、IOSTの買い方のガイドにまとめています。
メリットとデメリット
メリット
- 2018年から上場している、タイバーツ建て唯一のIOSTの板
- タイSECから取引所およびブローカーとして認可
- PromptPayと銀行振込で素早く入金でき、バーツ入金は無料との報道
- 日本のIOST/JPY市場を大きく上回る流動性
- スナップショット時点の保有者には毎月IOST 3.0エアドロップを配布
デメリット
- 2021年のハッキング隠蔽疑惑でSECが刑事告発
- 取引量の水増しやインサイダー取引で過去にもSECが制裁
- 一律0.25%の手数料と、1%を超えることが多いスプレッド
- IOSTの出金ネットワークと手数料を確認できる形で公開していない
- 準備金の公開証明がない
タイでIOSTを買える代替先
タイでの選択肢は限られており、問題を抱えながらもBitkubが使われ続けている最大の理由はそこにあります。Binance THを運営するGulf BinanceもSEC認可でIOSTを扱っていますが、ドル建てのペアだけなので、先にバーツで暗号資産を買う必要があります。Upbit ThailandはIOSTをビットコイン建てでしか扱っておらず、その市場は事実上動いていません。KuCoin ThailandにはIOSTがありません。BybitやOKXなどのグローバル取引所はタイで遮断されており、無認可の取引所での利益は非課税措置の対象外です。
認可されたルートは二つ
タイ在住者の現実的な選択肢は、BitkubでIOST/THBを直接買うか、Binance THでバーツを暗号資産に替えてからIOSTを買うかです。どちらもSEC認可の取引所にとどまれます。
| 取引所 | IOSTペア | タイSECの認可 | 評価 |
|---|---|---|---|
| Bitkub | IOST/THB | あり | バーツ建ての主要市場 |
| Binance TH(Gulf Binance) | IOST/USDT | あり | 板は厚いが、バーツから2段階 |
| Upbit Thailand | BTC-IOST | あり | 上場のみで取引なし |
| KuCoin Thailand | なし | SECリストに未掲載 | IOSTなし |
| Bybit、OKX | 利用不可 | なし、2025年6月から遮断 | 避けるべき |
出典:タイSECのライセンスリストと各取引所のAPI(調査04)。
IOSTの市場として最も厚いのはどこかを知りたい方は、BinanceのレビューとIOST取扱い取引所の比較をご覧ください。日本在住の方なら、国内初のIOST上場取引所であるCoincheckのレビューが参考になります。購入前にはIOSTのリスクチェックも読んでおきましょう。IOSTの価格が2018年1月の高値から99%以上下落した理由と、いまも値動きが極端に大きい理由を解説しています。
よくある質問
BitkubでIOSTは買えますか?
買えます。Bitkubは2018年11月27日からIOSTをタイバーツ建てで上場しており、IOST/THBペアは現在も稼働しています。最小注文額は10バーツで、入金はPromptPayかタイの銀行振込です。
BitkubからBinanceにIOSTを送金するには?
BinanceまたはBinance THの口座でIOSTの入金用アカウント名とメモをコピーし、BitkubでIOSTのネットワークを選んで両方を正確に貼り付けます。まずは少額でテスト送金してください。メモが抜けると、コインは取引所の共有入金アカウントに着金し、取り戻せるかどうかは受け取り側の取引所次第になります。
BitkubからのIOST送金にはどれくらい時間がかかりますか?
IOSTメインネットは0.5秒ごとにブロックを生成し、約32秒でファイナリティに達するため、ブロックチェーン上の処理は速いです。待ち時間の大半は、送る側と受け取る側の取引所の処理とセキュリティチェックです。2026年10月のv4.0.0アップグレード前後のように、ネットワークのメンテナンス中は送金が完全に止まります。
BitkubはIOST 3.0のエアドロップを配布していますか?
配布しています。2025年3月15日(UTC 0時)のスナップショット時点でBitkubに1,000 IOST以上を保有していたユーザーが、IOST 3.0エアドロップの取引所分を受け取ります。初回は4か月分で、その後は毎月配布され、12回目は2026年6月30日でした。スナップショット後に買ったIOSTは対象外です。
BitkubのIOSTの取引手数料はいくらですか?
Bitkubの手数料ページでは、IOSTを含む全銘柄でメイカー・テイカーとも一律0.25%とされています。IOST/THBのスプレッドは手数料そのものより広いことが多いので、成行注文の前に板を確認してください。IOSTの出金手数料は確認できず、Bitkubが1日に複数回改定しています。
2021年のハッキング後、Bitkubは安全ですか?
BitkubはタイSECの認可を受けており、2021年5月に約17億バーツ相当の暗号資産が盗まれた際も顧客に損失はなかったと説明しています。しかしSECは2026年7月、その損失が虚偽の報告で隠されていたとして刑事告発しました。Bitkubは長期保管の場所ではなく、売買の場所として使うのが無難です。
出典・参考資料
- Bitkub API v3 — 取引ペア一覧(IOST_THB) · 取引所API
- Bitkub — 暗号資産の手数料表 · 公式の手数料ページ
- Bitkubサポート — タイ国籍以外の方のNFC本人確認 · 公式ヘルプセンター
- タイSEC — 認可デジタル資産事業者 · 規制当局の登録簿
- IOST開発者ドキュメント — 取引所向けガイド(メモ入金) · 公式ドキュメント
- ForkLog — タイSECによるBitkubの刑事告発 · SECを引用した報道、2026年7月
- CoinGecko — IOSTの市場一覧 · マーケットデータアグリゲーター
