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ひとことで言うと
IOSTは処理の速さを重視して作られたパブリックブロックチェーンで、そのトークンの名前もIOSTです。メインネットは2019年2月25日に稼働し、今も0.5秒ごとにブロックを生成しています。開発者はJavaScriptでスマートコントラクトを書き、ユーザーはトークンを支払うのではなくロックすることで取引のコストをまかないます。発行元はシンガポールで登記されたIOS Foundationです。2025年3月にはIOST 3.0という計画のもと、BNBチェーン上のBEP-20版トークンとLayer 2ネットワークという、トークンの「2つ目の居場所」が加わりました。
ここまでが技術的な答えです。もっと面白いのは「人」の話でしょう。IOSTは欧米ではトップクラスの銘柄になったことがありません。それなのに日本では2020年にCoincheckが上場して以来おなじみの名前になり、韓国ではUpbitが2018年からウォン建てで扱っています。タイではあだ名まで付きました。このガイドでは、名前の意味、トークンの役割、歴史、運営する人々、そして3.0で何が変わったかを順に取り上げます。とにかく買い方を知りたいという方は、IOSTの買い方ガイドのほうが近道です。
IOSTという名前の意味と読み方
IOSTはInternet of Services Tokenの略で、読み方は「アイオーエスティー」です。金融庁の暗号資産交換業者登録一覧でも、このカタカナ表記で記載されています。財団はInternet of Services Foundationを名乗っており、もともとの構想はシンプルでした。初期のイーサリアムを悩ませた遅くて高い取引から抜け出し、ゲームからECまで、実際のオンラインサービスが動かせるほど速いパブリックブロックチェーンを作ることです。2018年のホワイトペーパーは、最大10万TPS(1秒あたりの取引数)の処理能力、Proof of Believabilityという新しいコンセンサス設計、そして処理を多数のノードグループに分けるシャーディングを約束していました。
文字の並びが近いせいもあって、IOSTはよくIoT(モノのインターネット)と混同されます。しかしIOSTはスマート家電やセンサーと特別な関係はありません。名前の「サービス」は、チェーン上で動くアプリやプラットフォームのことです。IOTAやIoTeXのような似た名前のトークンと取り違えられることもあります。これらはネットワークもプロジェクトも別物なので、ウォレットや取引所でIOSTらしきものを見かけたら、買う前・送る前にティッカーとネットワークを確認してください。
では、当初の構想はどこまで実現したのでしょうか。答えは「部分的に」です。0.5秒のブロック生成は本物で、チェーンは何年もそのペースを保っています。一方で10万TPSはメインネットで一度も達成されておらず、シャーディングも説明どおりには実装されませんでした。これらの数字は、PoBが実際にどう動いているかも含めてIOSTの技術ページで正直に検証しています。
IOSTトークンは何に使う?
元のチェーンでのIOSTは、手数料を払うためのトークンというより「リソースの鍵」に近い存在です。多くのチェーンのように送金ごとに数円ずつ払うことはありません。代わりにIOSTをステーク(プレッジ)するとガスが受け取れ、そのガスは毎日回復します。コントラクトや残高のデータを置くオンチェーンのストレージであるRAMは、IOSTで購入します。ブロックプロデューサーへの投票もIOSTで行います。そして新しいアカウントを作るには、既存のアカウントがその分のIOSTをロックする必要があります。BNBチェーン上のBEP-20版は、主に売買とStakeDropのプログラムに使われています。
| 用途 | どこで | 仕組み |
|---|---|---|
| ガス | IOSTメインネット | IOSTをステークすると毎日回復するガスを受け取れる。解除には72時間 |
| RAM | IOSTメインネット | システムからIOSTで購入。購入時の2%の手数料はバーンされる |
| 投票 | IOSTメインネット | 1 IOST=1票でブロックプロデューサーに投票。投票解除には72時間 |
| 新規アカウント | IOSTメインネット | 作成者が約10 IOSTのステークと少量のRAMを負担 |
| 売買とStakeDrop | BNBチェーン(BEP-20) | 0xアドレスの標準的なトークン。StakeDropは最低1万IOST |
| Layer 2のガス | IOST L2(チェーンID 182) | IOSTではなくBNBで支払う |
出典:IOST開発者ドキュメント(経済モデル、アカウント、投票)、docs.iost.io。詳しくは発行枚数・供給量のガイドへ。
この設計は、少額のユーザーにとって実用的なメリットがあります。どのアカウントも最初から約10 IOSTがガス用にステークされているので、何も支払わずに1日あたり100回ほど普通の送金ができる計算です。裏返すと、ガスやRAMにロックしたトークンには投票権がなく、解放するまでに時間がかかります。投票と報酬の仕組みをくわしく知りたい方はIOSTステーキングのガイドをご覧ください。ひとつ覚えておきたいのは、IOSTはマイニングできないということです。プルーフ・オブ・ワークがないので、「IOSTマイニング」をうたうアプリは危険信号と考えてください。
IOSTの歴史:2018年からv4.0.0まで
ブロックチェーンとしては短い歴史ですが、中身は濃いものです。IOSTは一般向けのICOを行っておらず、2018年のセールはプライベート投資家や機関投資家向けでした。ERC-20トークンの取引が始まったのは2018年1月、ちょうどアルトコインバブルが頂点に達した時期で、過去最高値は数日のうちに記録されています。メインネットはその1年後。日本と韓国での上場がIOSTに第二の人生を与え、2025年にはIOST 3.0で新しい章が始まりました。
- 2018年1月プライベートセールと取引開始ERC-20トークンが1月16日ごろに上場。1月23日に過去最高値の約0.13ドルを記録。
- 2019年2月25日メインネット「Olympus」稼働ERC-20のIOSTをネイティブIOSTへ交換。
- 2020年9月8日Coincheckが上場国内取引所として初めてIOSTを取り扱い。
- 2021年強気相場と日本での展開9月15日にOKCoin Japanが上場。RIZINのNFTマーケットプレイスやDONのエアドロップが続く。
- 2024年10月21日PayFi・DePINの提案財団がのちのIOST 3.0となるアップグレードを提案。
- 2025年1月12〜13日2回目の投票が可決翌日、新たな供給を理由にDAXAとUpbitが注意喚起。
- 2025年3月8日IOST 3.0ローンチBEP-20コントラクト、BNBチェーンのLayer 2、エアドロップのルール。3月15日にスナップショット。
- 2026年10月go-iost v4.0.010月14日に必須のL1アップグレードを公開。取引所が入出金を一時停止。
2018年世代のチェーン
IOSTは、2018年の強気相場で生まれた高速・投票型チェーンの波に属しています。EOSやTRONと同じ世代で、名前付きアカウントやRAMといった設計の多くはこの時代の発想です。
いくつかの章はもう少し掘り下げる価値があります。2021年は上場直後の熱狂を除けばIOSTにとって最高の年で、相場全体の追い風と日本の新しいファン層に支えられ、1月から4月にかけて価格は約16倍になりました。2023年12月は別の意味で注目を集めます。インスクリプションのスパムでチェーンが混雑し、開発チームが通常の送金を優先する緊急リリースを出したのです。2024年1月には、財団が香港のサイバーポートのインキュベーションプログラムに参加しました。そしてIOST 3.0をめぐる長い議論が続きます。その詳細はIOST 3.0の解説で取り上げています。価格面の歴史は、主要な高値・安値とライブチャートをまとめたIOSTの価格ページでどうぞ。
IOSTを作ったのは誰か
プロジェクト資料や、取引所のリサーチページなどの二次情報によると、IOSTはCEOを務めたJimmy Zhong氏が、Terrence Wang氏、Ray Xiao氏、Justin Li氏、Sa Wang氏、Kevin Tan氏とともに共同創業したとされています。ただ、プロジェクトは現在チームページを公開しておらず、公式な情報でこの顔ぶれを確認することはできませんでした。あくまで一般に伝えられている内容として受け止めてください。名前を誤って載せているまとめサイトもあるので、創業者についての情報は慎重に読むのが賢明です。
現在のプロジェクトの顔はBlake Jeong氏です。2024年に共同CEOとして紹介され、2025年以降の公式投稿ではCEOとして登場しています。法人はシンガポールのIOS Foundation Ltd.です。二次情報では、初期の出資者としてHongShan(旧Sequoia China)やMatrix Partners Chinaの名前が挙がっています。ICOトラッカーは2017年末〜2018年初めのプライベートセールの規模をおよそ3,500万ドルとしていますが、1トークンあたりの価格や調達総額は情報源によってばらつきがあります。2025年6月には、DWF Labs、Presto、Rollman Management Groupが主導する2,100万ドルの戦略的資金調達を発表し、現実資産(RWA)関連の計画に充てるとしました。
ホワイトペーパーとロードマップ
IOSTが何を作ろうとしていたかを知るには、今でも2018年の技術ホワイトペーパーがいちばんの資料です。GitHubのiost-official Documentsリポジトリで読むことができます。そこにはProof of Believability、Serviという評判トークン、Efficient Distributed Shardingという設計、そして10万TPSという目標が書かれています。iost.ioのホワイトペーパーへのリンクはエラーページになるので、公式サイトで見つからなくても驚かないでください。現在のIOSTについては、IOST 3.0のドキュメントがホワイトペーパーの役割を果たしています。
公式の説明では、プロジェクトは3つのフェーズに分かれます。2018年からの元のチェーンがIOST 1.0、エコシステムの拡大に力を入れた2022年からがIOST 2.0、そしてLayer 2、現実資産、決済、デジタルIDを掲げる2025年からがIOST 3.0です。ロードマップの目標は野心的でした。2024年の提案では、2025年末までに月間取引高2億ドル、トークン化された現実資産10億ドル超を目指すとしていました。しかし、それらの目標が達成されたことを示すオンチェーンの証拠は見つかっていません。公式サイトに掲げられた数字も公式エクスプローラーとは一致せず、エクスプローラーが数えるアカウントは累計で約120万にとどまります。ロードマップの数字は「結果」ではなく「計画」として読みましょう。
IOSTをウォレットに入れてみたい方へ
日本にお住まいなら、金融庁登録のCoincheck、OKJ、BitTrade、Binance Japanが正攻法です。IOSTを扱う取引所が国内にない地域では、多くの読者がまずカードで暗号資産を買い、IOSTを扱う取引所へ移しています。2013年から運営されているCEX.IOはその選択肢のひとつですが、IOST自体は扱っておらず、日本居住者も利用できません。
日本にお住まいの方はCEX.IOを利用できません。国内でIOSTを買う場合は、金融庁に登録された暗号資産交換業者をご利用ください。
日本と韓国がIOSTを受け入れた理由、タイでの呼び名
日本はIOSTにとって「心のふるさと」と言える場所です。Coincheckが上場した2020年9月8日当時、国内取引所で買える銘柄はごく限られていました。その中で、1枚あたりの単価が低い高速チェーンのアルトコインを国内で手軽に買えるようになったことは大きな意味を持ちました。1年後にはOKCoin Japan(現OKJ)が続き、金融庁の登録一覧では4社がIOSTを扱っています。財団も日本ブロックチェーン協会への加盟、大学での講座、RIZIN FIGHTING COLLECTIONのNFTマーケットプレイス、東京でのコミュニティイベントと、地道な活動でそれを支えました。取引所の一覧と税金のルールは日本のIOST事情のページにあります。
日本で大人気
2025年のインタビューで、IOSTのCEOは日本を最大のコミュニティ、韓国を2番目に大きい市場と語りました。
韓国は売買のエンジンです。Upbitはメインネット稼働より前の2018年7月25日にKRW-IOST市場を開設し、同じ年のうちにBTC市場も加えました。BithumbとCoinoneも取り扱っています。韓国の需要の大きさはオンチェーンにも表れていて、Upbitの運営会社Dunamuに紐づくカストディ用アカウントが、ネイティブIOST全体の約30%を保有しています。韓国の取引所は3.0の流れにも影響を与えました。2025年1月のDAXAの注意喚起は、新たな供給に対する最初の大きな市場の反応だったからです。詳しくは韓国のIOST事情をご覧ください。
タイは、どんなホワイトペーパーにも書けないものをIOSTに与えました。あだ名です。タイの投資家の一部はIOSTを冗談まじりにเหรียญยาย(おばあちゃんコイン)と呼び、タイではこの言葉が意外なほどよく検索されています。ただ、この呼び名がどこから来たのか、信頼できる情報源は見つかりませんでした。BitkubでIOSTが長く扱われているからとか、値動きがのんびりしているからといった説がよく語られますが、どれも推測です。BitkubのIOST/THB市場と現地のルールはタイのIOST事情で紹介しています。
IOST 3.0後のIOSTはどんな姿か
3.0以降のIOSTは、2つの顔を同時に持っています。元のチェーンは今も17のブロックプロデューサーと0.5秒のブロックで動き続け、2026年10月には全ノードが必須アップグレードgo-iost v4.0.0を導入しました。国内や韓国の取引所の多くが入出金に使っているのも、このネイティブIOSTです。その一方で、トークンはBNBチェーン上のBEP-20版としても活発に取引され、財団はチェーンID 182のOP Stack製Layer 2を運営していますが、こちらのユーザー活動はこれまでほとんどありません。その過程で供給量は大きく増えており、内訳は発行枚数・供給量のページで整理しています。
チェーンを自分の目で確かめたいなら、公式のIOSTSCANエクスプローラーでブロック、プロデューサー、アカウントを見ることができます。当サイトのIOSTエクスプローラーでも、トランザクションハッシュやアカウント名を検索できます。ゲームからDeFiまで、これまでネットワーク上で何が作られてきたかはIOSTのDAppsページをご覧ください。
よくある質問
IOSTは何の略ですか?読み方は?
IOSTはInternet of Services Tokenの略で、読み方はアイオーエスティーです。運営する財団はInternet of Services Foundationを名乗り、オンラインサービスやアプリが大規模に動ける高速なパブリックブロックチェーンを目指していました。名前は似ていますが、IoT(モノのインターネット)とは関係ありません。
IOSTの創業者は誰ですか?
プロジェクト資料や二次情報によると、CEOを務めたJimmy Zhong氏が、Terrence Wang氏、Ray Xiao氏、Justin Li氏、Sa Wang氏、Kevin Tan氏とともに共同創業したとされています。公式のチームページでこの顔ぶれを確認することはできません。公式リリースで現在のCEOとして名前が出ているのはBlake Jeong氏です。
IOSTは中国のプロジェクトですか?中国政府の支援はある?
発行元はシンガポールで登記されたIOS Foundationです。二次情報によると、初期の投資家にはHongShan(旧Sequoia China)やMatrix Partners Chinaなど中国系のベンチャーキャピタルがいました。2020年にエンタープライズ版が中国のBSNで開発者認定を受けていますが、中国政府との正式な関係を示す証拠はありません。
IOSTのホワイトペーパーはどこで読めますか?
2018年の技術ホワイトペーパーは、GitHubのiost-official内のDocumentsリポジトリで公開されています。iost.ioのホワイトペーパーへのリンクはエラーページになるため、IOST 3.0以降についてはdocs.iost.ioのドキュメントが現在の参照先になります。
IOSTはいつから始まったのですか?
トークンはプライベートセールのあと、2018年1月にERC-20トークンとして取引が始まりました。IOSTメインネット「Olympus」は2019年2月25日に稼働し、その後ERC-20の保有者はネイティブIOSTへ交換しました。IOST 3.0は2025年3月8日にローンチしています。
タイでIOSTが「おばあちゃんコイン」と呼ばれるのはなぜ?
タイの投資家の一部はIOSTを冗談まじりにเหรียญยาย、つまりおばあちゃんコインと呼びます。この愛称の由来を確認できる情報源は見つかりませんでした。Bitkubで古くから扱われている銘柄だからとか、値動きがゆっくりだからといった説がありますが、いずれもコミュニティのジョークで、記録に残る歴史ではありません。
出典・参考資料
- IOST 技術ホワイトペーパー(2018年) · 公式GitHub
- What is IOST — IOST 3.0 ドキュメント · 公式ドキュメント
- IOST L1 開発者ドキュメント(概要) · 公式ドキュメント
- IOST 3.0 正式ローンチ · 公式ドキュメント
- IOST 3.0 発表(Medium) · 公式ブログ、2024年12月12日
- go-iost v4.0.0 リリース · 公式GitHub
- Upbit IOSTに関するお知らせ(DAXA注意喚起) · 取引所告知、2025年1月13日
- Coincheck IOST取扱開始のプレスリリース · 取引所プレスリリース
